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10年以上つきあって、最後の4年以上は同棲関係にあった同性カップル、AさんとBさんの事例です。2人は結婚を望んでいましたが、それがかなわないまま、Bさんが病気になり、Aさんは7ヶ月間献身的に介護しましたが、結局Bさんは先立ちました。

AさんとBさんは婚姻の意思があり、本人達の生活は実質的に婚姻関係にあったものの、法律的に婚姻できないために、以下のような様々な問題に直面しました。

■医療保険の被扶養者
Bさんは病気になって半年間働けず、Aさんに扶養された状態にあったが、BさんはAさんの医療保険の被扶養者として認められなかったため、自ら保険料を払い続けなければならなかった。

■配偶者に対する医療行為の同意
Bさんが死亡するまでの間、AさんがBさんを一人で支え、介護をしており、AさんがBさんの体調や病状、Bさん自身の意向について精通していたにも関わらず、お互い配偶者/家族と認められず、Bさんに対する医療行為にAさんが同意することができなかった。逆に、Bさんと疎遠だったBさんの血縁者が突然やって来て、 医療行為の同意が血縁者に委ねられた。

■配偶者のカルテの開示請求権
Bさんの病歴や経緯、本人の意向など、細部まで知っているAさんが配偶者/家族とは認められないため、医師からAさんにBさんの医療情報の提供がなく、Aさんはカルテの開示も請求できなかった。

■所得税の配偶者控除 ・配偶者特別控除
Bさんが病気になって半年間働けず、Aさんの収入だけで生活していた(扶養されていた)が、BさんがAさんの扶養家族として認められないため、Aさんは所得税の配偶者控除・配偶者特別控除を受けられなかった。

■医療費控除のための医療費合算
AさんとBさんの2人がともに病気で通院し、治療費などの出費の合計額が、医療費控除を受ける額を満たしていたが、夫婦としての医療費合算が出来ず、所得税の医療費控除を受けられなかった。

■配偶者の介護の為の介護休業
Bさんが死亡するまでの7ヶ月間、AさんはBさんを自宅で介護をしたが、Bさんを配偶者として認められなかったため、Aさんは介護休業を取得することができず、大きな苦労を強いられた。

■法定相続
AさんはBさんと4年以上と同棲し、婚姻意思があったにも関わらず、同性パートナーであるBさんの配偶者と認められないため、Bさんの死亡後、Bさんの遺産を相続することができなかった。

■借地借家権の承継
AさんはBさん名義で契約した賃貸物件に同居していたが、Bさんが死亡後、配偶者ではないために借家契約の承継ができず、退去せざるをえなかった。Bさんの介護でAさんは仕事もやめざるを得ず、経済的に困窮する中で新居を探すという大きな負担を強いられた。

■養子の共同親権
2人は養子を持ちたいと考えていたが、同性カップルは養子の共同親権が認められず、現法律上ではどちらか一方の養子という形しか認められないので諦めざるをえなかった。

■国民年金の死亡一時金
Bさんが第1号被保険者として長年(法定の36ヶ月以上)保険料を納め、老齢基礎年金を受け取ることなく死亡した。遺族は死亡一時金を受給できるが、同性パートナーは遺族として認められないため、Aさんは実質的に配偶者として生活し、最後は7ヶ月間Bさんの介護に献身したにも関わらず、死亡一時金を受給できなかった。

■配偶者の死亡退職に際する死亡退職金
Bさんが亡くなった際、Aさんは実質的には配偶者の立場であったが、同性パートナーは配偶者と認められないため、Bさんの死亡退職金を受け取ることができなかった。

■民間生命保険の保険受取人
Aさんは、生命保険会社に、自身の生命保険の受取人を親族からBさんに名義変更したいと申し出たが、法的な親族でないと難しいと断られた。

■パートナーの葬儀への参列
10年間連れ添い、最後は一人で介護までしたパートナーであるBさんの親族に拒絶され、AさんはBさんの葬儀に参列できなかった。