結婚による法律上の効果と根拠法の一覧
法律上、結婚(婚姻)することによって以下の法律上の効果が生じます。異性カップルの事実婚においても、下記の通りほぼ結婚と同様の権利が認められます。一方、同性カップルにはほぼ全ての権利が認められません。
|
同 性 カ ッ プ ル |
養 子 縁 組 |
事 実 婚 |
婚 姻 |
根拠法等 |
|||
民事分野 | ||||||||
財産関係 | ||||||||
法定相続 |
× |
○ |
× |
○ |
民法第890条 | |||
相続財産分与 |
× |
△ |
– |
民法第958条の3、特別縁故者としての相続財産分与。 | ||||
相続における特別寄与制度 |
× |
○ |
× |
○ |
民法第1050条 | |||
借家権の承継 |
× |
○ |
○ |
○ |
借地借家法第36条第1項 | |||
公営住宅への入居 |
△ |
○ |
○ |
○ |
公営住宅法第23条第1項、条例 | |||
婚姻費用分担責任 |
× |
× |
○※ |
○ |
民法第760条、※最判昭和33年4月11日 | |||
帰属不明財産の共有推定 |
× |
○※ |
○ |
民法第762条、※福岡地判昭和30年9月29日 | ||||
離婚時の慰謝料請求 |
△ |
× |
○※ |
○ |
民法第709条、710条、※宇都宮地裁真岡支部令和元年9月18日 | |||
離婚時の財産分与請求 |
× |
× |
○※ |
○ |
民法第768条、※東京家審昭和31年7月25日 | |||
共有財産の清算請求※ |
× |
– |
○ |
– |
※配偶者が死亡した場合であって相続人がいるとき。大阪高判昭和57年11月30日 | |||
関係の不当破棄による不法行為責任 |
× |
○ |
○ |
民法第709条、最判昭和33年4月11日 | ||||
生命侵害を受けた者の配偶者による第三者に対する損害賠償請求 |
× |
○ |
○ |
○ |
民法第709条及び第711条、大判昭和7年10月6日 | |||
配偶者短期居住権 |
× |
× |
○ |
民法第1037条-1041条 | ||||
配偶者居住権 |
× |
× |
○ |
民法第1028条-1036条 | ||||
身分関係 | ||||||||
同一戸籍簿にパートナーと記載される |
× |
× |
○ |
戸籍法 | ||||
住民票に「配偶者」として記載される |
× |
× |
△ |
○ |
住民基本台帳法第7条 | |||
同居・協力・扶助義務 |
× |
× |
○ |
○ |
民法第752条、事実婚は東京控判昭和7年3月29日 | |||
日常家事の連帯責任・日常家事代理権 |
× |
× |
○ |
○ |
民法第761条、最判昭和44年。事実婚は青森地八戸支判昭和36年9月15日 | |||
懐胎した子に係る夫の父性推定 |
× |
× |
△ |
○ |
民法第772条、最判昭和29年1月21日。※性同一性障害特別法により性別変更した者の婚姻においては父性推定される。最決平成25年12月10日 | |||
配偶者の日本への在留許可 |
× |
○※ |
○ |
※在留特別許可。東京地判平成20年2月29日 | ||||
実子の共同親権 |
× |
× |
△※ |
○ |
民法第4編第3章第1節 ※親権は一方の親のみ | |||
養子の共同親権 |
× |
× |
○ |
民法第4編第3章第2節 | ||||
成年後見開始審判の申立権 |
× |
× |
× |
○ |
民法、家事事件手続法、後見登記等に関する法律 | |||
配偶者の日本への帰化の特例 |
× |
× |
× |
○ |
国籍法第7条 | |||
「日本人の配偶者等」「家族滞在」在留資格による入国 |
× |
× |
× |
○ |
出入国管理法 | |||
氏の統一 |
× |
○ |
△ |
○ |
民法第750条 | |||
刑事分野 | ||||||||
犯人蔵匿等・証拠隠滅等の親族間免責 |
× |
○ |
× |
○ |
刑法第105条 | |||
窃盗・不動産侵奪、詐欺・恐喝・背任、横領等の親族間免責 |
× |
○ |
× |
○ |
刑法第244条、251条、255条 | |||
盗品譲受け等の親族間免責 |
× |
○ |
× |
○ |
刑法第257条 | |||
DV法上の保護 |
△ |
× |
○ |
○ |
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第1条第3項 | |||
犯罪被害給付制度(遺族給付金) |
× |
○ |
○ |
○ |
犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律第5条第1項第1号 | |||
リベンジポルノ被害(削除しても発信者からの損害賠償請求を受けない) |
× |
○ |
リンベジポルノ法第4条 | |||||
受刑者への面会 |
× |
○ |
○ |
○ |
刑事収容施設法第111条第1項第1号 | |||
パートナーの不利益になる証言拒否権 |
× |
○ |
○ |
刑事訴訟法147条 | ||||
弁護人の選任権 |
× |
○ |
○ |
刑事訴訟法30条2項 | ||||
税制分野 | ||||||||
所得税の配偶者控除・配偶者特別控除 |
× |
× |
×※ |
○ |
所得税法第83条、第84条。※最判平成9年9月9日 | |||
相続税の配偶者控除(民間の生命保険を受け取った時も) |
× |
× |
× |
○ |
相続税法第19条 | |||
結婚資金としての贈与の非課税制度 |
× |
× |
○ |
租税特別措置法第70条2の3、措令40の4の4、措規23の5の4 | ||||
医療費控除のための医療費合算 |
× |
○ |
○ |
○ |
所得税法第73条 | |||
差押禁止財産の範囲に配偶者を含む |
× |
○ |
○ |
○ |
国税徴収法第75条。「生計を一にする親族」 | |||
納税猶予※ |
× |
○ |
○ |
○ |
国税通則法第46条第2項。「生計を一にする親族」※納税者または親族の病気・負傷により納税猶予を受けられる。 | |||
相続税の延納※ |
× |
○ |
○ |
○ |
相続税法第38条第1項。※相続税延納の許可限度額の算定において生計を一にする親族の生計費が考慮される。 | |||
扶養控除(未認知の子、連れ子への適用) |
× |
○ |
×※ |
○ |
所得税法第84条第1項及び同法第2条第1項第34号。※最判平成3年10月17日 | |||
離婚後の寡婦・寡夫控除 |
× |
× |
×※ |
○ |
所得税法及び租税特別措置法、※最判平成19年2月26日 | |||
年金分野 | ||||||||
国民年金第3号被保険者になれる |
× |
× |
○ |
○ |
国民年金法第94条の2、同94条の3、同94条の6 | |||
遺族年金 |
× |
○ |
○ |
○ |
国民年金法第第37条-42条、厚生年金保険法第59条等 | |||
公的年金の死亡一時金 |
× |
○ |
○ |
○ |
国民年金法第52条の3 | |||
国民年金における「妻」の特別の扱い・寡婦年金 |
× |
× |
○ |
国民年金法第39条、49条 | ||||
離婚時の年金分割 |
× |
× |
× |
○ |
||||
厚生年金の加給年金 |
× |
× |
○ |
○ |
厚生年金保険法第3条第2項 | |||
労働分野 | ||||||||
労災補償の遺族補償・遺族給付 |
× |
○ |
○ |
○ |
労働者災害補償保険法第16条の2第1項 | |||
労災補償における「妻」の特別の扱い |
× |
× |
○ |
労働者災害補償保険法第16条の2第1項ただし書き | ||||
配偶者の介護のための介護休業 |
× |
○ |
○ |
○ |
育児・介護休業法 | |||
配偶者の連れ子のための育児休業 |
× |
– |
○※ |
○ |
育児・介護休業法、※子を認知し法律上の親子関係を成立させる必要がある。 | |||
配偶者の死亡退職に際する死亡退職金 |
× |
× |
○ |
○ |
国家公務員退職手当法、労働基準法施行規則42条。民間も準用する場合が多い。 | |||
扶養手当 |
○ |
○ |
一般職の職員の給与に関する法律。民間も準用する場合が多い。 | |||||
医療分野 | ||||||||
医療保険の被扶養者 |
× |
○ |
○ |
○ |
健康保険法第110条など | |||
健康保険による家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、家族埋葬料及び家族出産育児一時金の受給 |
× |
○ |
○ |
健康保険法(被扶養者に対する給付。被扶養者には配偶者等の近親者でなければなれない) | ||||
配偶者の治験への同意 |
○ |
○ |
○ |
厚生労働省令「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」第50条第2項 | ||||
配偶者のカルテの開示請求権 |
○ |
○ |
○ |
厚生労働省令「診療情報の提供等に関する指針」7(1) | ||||
その他 | ||||||||
災害弔慰金 | × |
○ |
○ |
○ |
災害弔慰金の支給等に関する法律 | |||
法律事項ではないもの | ||||||||
民間生命保険の死亡保険金受取 |
△※ |
○ |
△ |
○ |
※受け取れるが、配偶者に対する税額の軽減が非適用 | |||
パートナーの葬儀への参列 |
△ |
○ |
△ |
○ |
||||
パートナーに対する医療行為への同意(代諾) |
△ |
○ |
○ |
法律に特段の定めがない。 | ||||
入院中のパートナーへの「親族」としての面会 |
△ |
○ |
○ |
|
||||
企業の慶弔休暇、慶弔見舞金、扶養手当・家族手当 |
△ |
○ |
△ |
○ |
||||
自動車保険の「運転者家族限定特約」 | △ |
○ |
○ |
|
||||
携帯電話の「家族割引」 |
○ |
○ |
○ |
|||||
クレジットカードの「家族カード」 |
△ |
○ |
△ |
○ |
||||
航空会社のマイレージ「家族サービス」 |
△ |
○ |
○ |
○ |
||||
映画の夫婦割引 |
× |
○ |
||||||
交通機関の「夫婦割引」「家族割引」等 |
△ |
○ |
||||||
不動産の共有名義 |
△ |
○ |
||||||
共有名義の住宅に対する住宅ローン |
△ |
○ |
○ |
銀行は、担保物件の持分所有者(配偶者)を連帯保証人として求める。連帯保証人は第二親等以内の家族等と身内に限定されている。 |
※法律事項ではないものは、サービスを提供する企業などにより対応が異なりますが、自治体による同性パートナーシップを結ぶカップルには認める例が増えているようです。