世界の同性婚の情勢2019.05.17

台湾における同性婚の実現について

台湾で同性婚が認められることになりました。世界で26カ国目、アジアでは初です。
 
2017年5月に台湾の最高裁に当たる司法院大法官会議が、台湾の憲法上、同性婚を認めないのは「法の下の平等」や「結婚する自由」に反するため違憲であり、2年以内に同性婚を認める法律を制定するか、それができない場合には現行法のままで同性婚を認めると判決していました。
 
反対派は2018年11月の国民投票で、民法では同性婚を認めないとする案を提出し、これが可決されたため、政府は民法とは別建ての特別法によって同性婚を認めることとするなど、紆余曲折を経ましたが、なんとか最高裁判決から2年の期限直前となった今日、国会で法案が可決し成立しました。
 
最高裁が憲法判断により同性婚を認めたのに、反対派の抵抗によりすんなりと物事が決まらず、今日の国会での採決に際しても「同性婚」の文字が削除されたり、配偶者の連れ子を養子にできないなどの反対派への配慮から修正された部分もありました。
 
「同性婚」の文字は削除されましたが、「結婚登記」という表現に切り替えられ、実質的に同性カップルの結婚が認められることに変わりはありません。むしろ、これまで同性婚を認めた国においても、異性婚と同性婚を併置することで両者を異なる扱いとする法律を制定した国はなく、性別に関わりのない・性別に中立的な結婚という意味では良かったのではないかと感じます。
 
一方、一方、血縁関係のない子を養子にできないという問題は残ることになりました。同性婚を認めた国で当初養子を認めなかった例はポルトガルなどの例があります。しかしその後の法改正によって養子も認められることになりました。
 
また、国際結婚の場合も同性婚が認められるのは相手の国でも同性婚が認められている場合のみに限られているという問題もあります。この点も1989年のデンマークの登録パートナーシップでは認められなかった例があります。
 
その意味で、反対派に譲歩するために妥協せざるを得なかった点がいくつかあったとはいえ、今回の台湾の同性婚は100点満点中90点くらいだと言えるでしょうし、いずれ法改正が進み100点満点になると期待されます。
 
日本でも同性婚を求める訴訟が始まっています。日本国憲法の「法の下の平等」や「結婚する自由」から同性婚が認められなければいけないという論理は台湾や米国における立憲主義から導かれた憲法判断と共通するものです。
 
また、一人当たりGDPが日本を上回る世界の民主主義国は全て同性婚を認めていることは、多様性に寛容な社会がより発展することを物語っており、日本が同性婚を認める必然性は一層高まってきていると言えます。
 
台湾ではLGBTの人たちや団体の粘り強い努力により、過半の自治体で同性パートナーシップが認められていたことも、今回の同性婚実現につながったと考えられます。
 
EMA日本はこうした前向きな動きを日本における同性婚の1日も早い実現につなげるべく、全力で頑張ります。引き続きご支援をたまわりますようお願い申し上げます。
 
参考:「台湾で同性婚認める法案が可決 アジアで初、総統も支持」(朝日新聞)

LINEで送る
Pocket

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA