EMAからのお知らせ2019.02.14

バレンタインデーの今日、同性婚訴訟が始まりました!

バレンタインデーの今日、同性婚訴訟が始まりました。13組のカップルだけの裁判ではありません。多くの当事者、その家族、友人たちが仲間です。

今回の裁判については報道や各団体からの情報もたくさん提供されていますので、ここでは2017年に保守政権が同性婚を法制化したドイツ、2005年に憲法裁判所の判決により同性婚を認めた南アフリカ、同じく2005年に議会が法律を通して同性婚を認めたスペインの経験を紹介しておきたいと思います。

ドイツでも1992年にドイツ各地で結婚届を出した同性カップルが、その不受理を不服として提訴しました。しかし、翌1993年、ドイツ憲法裁判所は同性婚は認められないとの判決を下しました。最初の裁判は厳しい結果になってしまったのです。1995年に緑の党が同性婚法案を議会に提出するも否決されました。しかし1999年にドイツ第2の都市ハンブルク市が同性カップルの登録パートナーシップ制度を開始しました。法律上の義務も権利もない制度でしたが、同性カップルを公の存在として認める象徴的な動きでした。同年、首都ベルリン市が、パートナーが同性であってもドイツ人と一定の関係にある外国人に居住資格を認めることになりました。国のレベルでは、1998年に北欧型の登録パートナーシップ法案が連邦議会上院に提出されましたが否決されました。2000 年、当時の与党社会民主党と緑の党は、生活パートナーシップ法案を提出。連邦参議院が保守系野党多数であったため、参議院を経ない法案の形式とするなどの工夫をして、法案は可決。2001年より生活パートナーシップ制度が始まりました。その後、同性カップルには結婚に近い権利が認められるようになりましたが、保守系キリスト教民主同盟のメルケル首相は同性婚法制化には否定的でしたが、それでは野党に選挙で負けるとついに方針転換。キリスト教民主同盟も賛成する形で2017年に同性婚が法制化されました。

ドイツでは司法と立法の双方による運動が、最終的には保守政権下での同性婚法制化につながりました。

一方、これまで同性婚を認めた25カ国のうち、裁判による判決で同性婚が認められた国は、南アフリカ、米国、台湾などがあります。南アフリカ憲法裁判所の2005年12月の判決文の一部をご紹介します。

「同性カップルを、結婚の権利義務関係から排除することは、朝露のようにはかない社会的偏見、歴史の残滓による取るに足らない些末な不都合などと呼ぶべきではない。同性カップルを排除し、彼らがその関係を確かめ、保護される必要性が異性カップルより低いと規定する時代遅れな法律によって、同性カップルはどれほど苛酷な立場に置かれてきただろう。同性カップルを結婚から排除することはすなわち、同性カップルが生物学的にどこか変で劣っているから社会の正常な構成員にはなれず、憲法が万人に保障する尊厳に値しないというひどい社会的偏見を助長してきたのである。そして、同性カップルが愛を誓約し、それにより責任を負う能力が、異性カップルと比較して考慮するに足りないという誤った理解を認めてきたのである。」

「同性カップルの存在を認めないのは抽象的なことのように聞こえるかも知れないが、当事者にとっては具体的で重大な被害であった。我々の文化では、結婚すればプレゼントが贈られたり、毎年の記念日を祝福されるのに、同性カップルにはそうしたこともなく、彼らは法的に空白の状態に生きるしかなかった。同性カップルの人たちの中には、結婚をしないという人たちもいるだろう。それでも、それぞれの同性カップルが結婚するかどうか問題なのではなく、そうした選択が認められることが重要なのである。異性カップルが結婚する選択を認められるのなら、同性カップルにも結婚する選択が認められ、結婚による認められる地位やそれにより生じる義務が、平等に与えられなければならない。我々の文化における結婚の重要性を鑑みるに、同性カップルに結婚の選択を認めないことは、彼らの自己決定権を、最も深刻な形で否定することにほかならない。」(EMA日本による意訳)

25カ国中、約20カ国が立法府(国会)による立法によって同性婚を法制化しました。2005年6月に同性婚を法制化したスペインの中道左派・社会労働党のサパテロ首相の言葉も多くの人に記憶されています。

「私たち(スペイン)は、(同性婚を認める)最初の国にはなりませんでした。しかし、スペインが同性婚を認める最後の国はならないと、私は確信しています。自由と平等という不可侵の力によって、多くの国々が続くことでしょう。今回の法改正は、言葉の上では小さな変化かもしれません。しかし無味乾燥な言葉を法律に加えただけなのではなく、数多くの国民の生活にかかわる、計り知れない変化をもたらすものなのです。私たちは、遠くにいるよく知らない人たちのためにこの法律を制定したのではありません。私たちの隣人や、同僚や、友人や、親族が幸福になる機会を拡大しようとしているのです」(EMA日本意訳)

今日、札幌、東京、名古屋、大阪の各地方裁判所で、私たちは大きな一歩を踏み出しました。しかし、こうした多くの国の経験や歴史が、私たちに勇気を与えてくれます。最後は同性婚を実現できることをEMA日本は確信しています。

EMA日本は、原告、弁護団、各連携団体や皆様一人一人と協力して、一日も早い結婚の自由、結婚の平等の実現のために、引き続き全力を尽くします。頑張りましょう!

【本日、一斉提訴しました!】〜クラウドファンディングもスタート!ご支援をよろしくお願いします!〜…

結婚の自由をすべての人に:Marriage For All Japanさんの投稿 2019年2月14日木曜日

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